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皆さんこんにちは!
株式会社中嶋建設の更新担当の中西です。
さて今回は
~排水設備~
ということで、アンダーパスにおける排水設備の設計手法について、構成要素・計算基準・実務でのポイントを深く掘り下げて解説します。
アンダーパス(undepass)とは、鉄道や幹線道路と交差する地点において、道路を立体交差化するための“下を通す構造物”です。
都市部の渋滞緩和、安全性向上などに大きく貢献する一方で、最大の課題となるのが“浸水リスク”です。
アンダーパスは周囲よりも標高が低いため、雨水や地下水が自然排水できない構造であるため、排水設備の設計が極めて重要になります。
周辺地盤より低いため、重力による自然流下ができない
降雨時に雨水が集中しやすく、冠水しやすい地形条件
地下水の湧水、舗装面の透水などによる日常的な湿潤状態
気候変動による想定外の豪雨の増加
📌 適切な排水設計を行わなければ、車両の冠水事故・通行止め・設備損傷など、深刻な事態を招きます。
アンダーパスの排水設備は、主に以下の要素で構成されます。
項目 | 役割 |
---|---|
集水設備(側溝・集水桝・側溝ピット) | 雨水・湧水を一時的に集める設備 |
排水ポンプ(立坑・ポンプピット) | 集水された水を強制的に汲み上げて排出 |
排水管路(圧送・自然流下) | 処理水を最終排水先(下水・河川)へ導く |
非常用電源・制御盤 | 停電時のポンプ稼働を維持 |
貯留施設(雨水槽・調整池) | 豪雨時の水量を一時的に緩和・分散 |
設計雨量(mm/h):通常は50〜100mm/h程度を想定
流出係数(舗装材や地形によって変動)
流域面積(集水範囲)
📌 流出計算には気象庁の過去の観測データや、将来の気候変動を想定した強雨モデルも使用されます。
算出した排水量Qに対して安全率(1.2〜1.5)をかける
台数・出力・揚程(水を持ち上げる高さ)を決定
可動部が少ない竪軸・水中ポンプが主流
運転方式 | 特徴 |
---|---|
単独運転 | 小規模な施設向け |
交互運転 | 負荷を分散、寿命を延ばす |
並列運転 | 大量排水が必要な場合 |
自動起動制御 | 雨量や水位に応じてON/OFF制御 |
原則は既設下水道や雨水幹線への接続
下水道に余裕がない場合 ⇒ 一時貯留槽+時間差排水が必要
接続先の許容量・管理者の同意取得も設計段階で要確認
📌 排水先が河川の場合は「河川法」に基づく許可が必要になるケースもあります。
短時間の豪雨に対応できる雨水貯留槽・調整池
貯留容量は設計降雨強度×流域面積×一定時間分で決定
災害時の停電対策として自家発電機 or バッテリーバックアップを設置
制御盤は水没しない高さ(1.5m以上)に設置
逆止弁やフラップ弁の設置により、下水道からの逆流を防止
計画外の高水位時に備えたオーバーフロー管の整備
ポンプ点検・桝清掃・流量計測が容易に行える配置計画
電気設備の点検スペース・作業導線の確保
流量計・水位センサーによる自動通報システム(クラウド管理)導入も検討
📌 排水設備は「使うときだけでなく、使わない時期の保守」が重要です。
IoTを活用した水位・降雨量のリアルタイム監視
AIによる予測制御で事前にポンプ稼働を準備
台風・豪雨などの広域データと連携し、地域全体で排水制御
🌐 こうしたシステムは「スマートインフラ」として国土交通省でも推進中です。
アンダーパスの排水設備は、構造そのものの安全性を左右する最重要インフラです。
排水が機能しなければ、道路の価値はゼロになりかねません。
そのためには
✅ 流域に応じた的確な流出量の把握
✅ 信頼性の高いポンプ・電源・管路設計
✅ 予想外の事態に備えた貯留・自動制御・維持管理の工夫
✅ 将来を見据えたAI・IoT活用の検討
アンダーパスの排水設備は、「普段は目立たないけれど、いざという時に命を守る」まさに地下の守護者なのです。
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