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皆さんこんにちは!
株式会社中嶋建設、更新担当の中西です。
目次
今回は、アンダーパス工事において職人たちが実際に現場で守っている「鉄則」についてご紹介します。
都市の地下で行われるアンダーパス工事は、他の土木工事とは一線を画す難易度の高い工事です。
そこで求められるのは、一つ一つの判断と行動が安全・品質・コストに直結する現場力。それを支えている“鉄則”を、具体的に見ていきましょう。
都市部では、アンダーパスの施工箇所の地中には配管・ケーブル・埋設物が錯綜しています。
水道・ガス・下水・通信・電力などのライフラインが密集
図面と実際が違うこともしばしば。“見えていないリスク”を前提に慎重な掘削を
「絶対にぶつけない」「見えないものを想定する」ことが鉄則です。
鉄道との交差部では、「絶対に列車運行を止めない」ことが大前提です。
施工中の微小な地盤沈下すら許されず、ミリ単位の沈下計測が行われる
バイブレーション工法・無振動杭打ち・夜間時間帯限定施工など、最新技術と慎重な工程管理が要求される
特にシールド推進やジャッキ支持式のボックス架設など、専門性の高い工法の精密さが問われる現場です。
アンダーパスの弱点とも言える浸水リスクには、徹底した排水設計と設備の備えが必要です。
排水ピットとポンプ設備は「100年に一度の雨」を想定して設計
非常用電源・自動起動装置・水位センサーによる遠隔監視体制の構築
作業中でも「仮排水ルート」の確保が鉄則
一度浸水すると利用停止だけでなく構造劣化にもつながるため、排水対策は“命綱”のひとつとされています。
アンダーパス工事の多くは生活道路や鉄道付近など人の多い場所で行われます。
工事車両の動線確保と歩行者の安全誘導
騒音・振動・粉塵対策を徹底(防音壁・防塵シート・散水)
通行規制や夜間工事への住民説明・合意形成
工事が進めば進むほど、“施工そのものより、周辺との調和”が成功のカギを握るようになります。
都市部のアンダーパス工事は、複数の業者・技術者・行政との連携作業です。
毎日の作業日報、写真記録、測定値の記録を必ず残す
「ヒヤリ・ハット」の共有によるリスクの先取り
地下水位・地盤強度・構造体の挙動などの定期モニタリング
これらは、工事の品質と安全を“見える化”する唯一の証拠であり、将来のメンテナンスにも活きてきます。
アンダーパス工事は、都市にとって“影の主役”。
だからこそ、施工者には「見えないリスク」を想定し、「見えない努力」で都市の安全と利便性を守る使命があります。
その根底にあるのが、現場で守られてきた数々の“鉄則”。それは経験と失敗から生まれた、都市土木の英知そのものなのです。
次回もお楽しみに!
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皆さんこんにちは!
株式会社中嶋建設、更新担当の中西です。
目次
今回は、「アンダーパス工事の歴史」についてご紹介します。
アンダーパスとは、交差点や鉄道の下をくぐるように設けられた立体交差道路のこと。現在の都市ではよく見られるこの構造物も、かつては非常に高度な工事技術を必要とするものでした。
では、アンダーパス工事はどのようにして始まり、どのように発展してきたのでしょうか?その歩みをひもといてみましょう。
鉄道網が全国に広がった明治〜大正期、問題となったのが道路と鉄道の交差による踏切渋滞と事故でした。
自動車交通の増加により、踏切の開閉時間が長くなり交通が停滞
人身事故や列車との接触事故が相次いだ
国や自治体が“立体交差化”を検討する動きが強まる
当初は「跨線橋(オーバーパス)」が中心でしたが、景観や勾配制限、周辺地形の関係で**地下にくぐる“アンダーパス”**が有効とされ、1930年代以降に徐々に導入が進みました。
1950年代〜1970年代の高度経済成長期には、自動車の爆発的な普及に伴い、都市の渋滞対策が急務となりました。
鉄道下をくぐるアンダーパス、幹線道路をくぐる都市高速下アンダーパスなどが各地に建設
特に東京・大阪・名古屋などの大都市圏では、鉄道の高架化+道路のアンダーパス整備がセットで進められた
鉄道事業者と道路管理者(国・自治体)が連携し、分離施工方式が確立
この時代の工事では、箱型のボックスカルバート構造が多く採用され、鉄筋コンクリートの耐久性と施工性が評価されてきました。
アンダーパス工事において、常に課題となってきたのが**「雨水による浸水事故」**です。
地下に掘り下げる構造のため、水が溜まりやすくなる
特に集中豪雨・ゲリラ豪雨では冠水しやすく、車両水没事故が多発
2000年代以降、排水ポンプの大型化・遠隔監視システムの導入が進む
最近では、AI制御による自動ポンプ起動や排水ピットの容量増強など、浸水対策も進化しつつあります。
鉄道を跨ぐアンダーパス工事では、**鉄道を止めずに掘削・設置する「開削工法」や「推進工法」**が用いられます。
深夜の限られた作業時間内でのシールド掘進や仮設防護
地盤沈下や構造物への影響を抑える高度な計測管理
地盤改良、地中埋設物の避け方など、現場ごとの対応力が問われる
こうした「都市土木の難工事」の代表格として、アンダーパス工事は現代の土木技術の総力戦として位置づけられています。
今や当たり前のように使われているアンダーパスですが、その裏には歴史を通じた知恵と技術、そして無数の職人の努力が詰まっています。
鉄道と道路の交差を安全・効率的に処理するその存在は、都市の呼吸を整える装置とも言えるでしょう。
次回は、そんなアンダーパス工事において“現場で守るべき鉄則”についてご紹介します!
次回もお楽しみに!
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皆さんこんにちは!
株式会社中嶋建設の更新担当の中西です。
さて今回は
~排水設備~
ということで、アンダーパスにおける排水設備の設計手法について、構成要素・計算基準・実務でのポイントを深く掘り下げて解説します。
目次
アンダーパス(undepass)とは、鉄道や幹線道路と交差する地点において、道路を立体交差化するための“下を通す構造物”です。
都市部の渋滞緩和、安全性向上などに大きく貢献する一方で、最大の課題となるのが“浸水リスク”です。
アンダーパスは周囲よりも標高が低いため、雨水や地下水が自然排水できない構造であるため、排水設備の設計が極めて重要になります。
周辺地盤より低いため、重力による自然流下ができない
降雨時に雨水が集中しやすく、冠水しやすい地形条件
地下水の湧水、舗装面の透水などによる日常的な湿潤状態
気候変動による想定外の豪雨の増加
📌 適切な排水設計を行わなければ、車両の冠水事故・通行止め・設備損傷など、深刻な事態を招きます。
アンダーパスの排水設備は、主に以下の要素で構成されます。
項目 | 役割 |
---|---|
集水設備(側溝・集水桝・側溝ピット) | 雨水・湧水を一時的に集める設備 |
排水ポンプ(立坑・ポンプピット) | 集水された水を強制的に汲み上げて排出 |
排水管路(圧送・自然流下) | 処理水を最終排水先(下水・河川)へ導く |
非常用電源・制御盤 | 停電時のポンプ稼働を維持 |
貯留施設(雨水槽・調整池) | 豪雨時の水量を一時的に緩和・分散 |
設計雨量(mm/h):通常は50〜100mm/h程度を想定
流出係数(舗装材や地形によって変動)
流域面積(集水範囲)
📌 流出計算には気象庁の過去の観測データや、将来の気候変動を想定した強雨モデルも使用されます。
算出した排水量Qに対して安全率(1.2〜1.5)をかける
台数・出力・揚程(水を持ち上げる高さ)を決定
可動部が少ない竪軸・水中ポンプが主流
運転方式 | 特徴 |
---|---|
単独運転 | 小規模な施設向け |
交互運転 | 負荷を分散、寿命を延ばす |
並列運転 | 大量排水が必要な場合 |
自動起動制御 | 雨量や水位に応じてON/OFF制御 |
原則は既設下水道や雨水幹線への接続
下水道に余裕がない場合 ⇒ 一時貯留槽+時間差排水が必要
接続先の許容量・管理者の同意取得も設計段階で要確認
📌 排水先が河川の場合は「河川法」に基づく許可が必要になるケースもあります。
短時間の豪雨に対応できる雨水貯留槽・調整池
貯留容量は設計降雨強度×流域面積×一定時間分で決定
災害時の停電対策として自家発電機 or バッテリーバックアップを設置
制御盤は水没しない高さ(1.5m以上)に設置
逆止弁やフラップ弁の設置により、下水道からの逆流を防止
計画外の高水位時に備えたオーバーフロー管の整備
ポンプ点検・桝清掃・流量計測が容易に行える配置計画
電気設備の点検スペース・作業導線の確保
流量計・水位センサーによる自動通報システム(クラウド管理)導入も検討
📌 排水設備は「使うときだけでなく、使わない時期の保守」が重要です。
IoTを活用した水位・降雨量のリアルタイム監視
AIによる予測制御で事前にポンプ稼働を準備
台風・豪雨などの広域データと連携し、地域全体で排水制御
🌐 こうしたシステムは「スマートインフラ」として国土交通省でも推進中です。
アンダーパスの排水設備は、構造そのものの安全性を左右する最重要インフラです。
排水が機能しなければ、道路の価値はゼロになりかねません。
そのためには
✅ 流域に応じた的確な流出量の把握
✅ 信頼性の高いポンプ・電源・管路設計
✅ 予想外の事態に備えた貯留・自動制御・維持管理の工夫
✅ 将来を見据えたAI・IoT活用の検討
アンダーパスの排水設備は、「普段は目立たないけれど、いざという時に命を守る」まさに地下の守護者なのです。
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皆さんこんにちは!
株式会社中嶋建設の更新担当の中西です。
さて今回は
~設計~
ということで、アンダーパス工事における設計の実務ポイントと、直面する課題・対策について深く掘り下げてご紹介します。
都市部や交通の交差点でよく見かける「アンダーパス(undepass)」
これは道路や鉄道などの下を通す地下通路であり、交通の安全性・円滑性の確保、渋滞緩和などの目的で多く活用されています。
しかし、アンダーパスは単なる「トンネル」ではなく、構造設計・排水設計・施工条件・周辺環境との調和など、非常に高度な設計力が求められる土木構造物です。
アンダーパスとは
鉄道や幹線道路と交差する箇所において、交通の立体交差化を図るために下を通す道路・歩道・自転車道等の構造物です。
鉄道との平面交差を回避(踏切廃止)し、安全性を向上
幹線道路・バイパスとのスムーズな交通流を確保
歩行者・自転車の安全な通行路を提供(歩道アンダーパス)
アンダーパスの設計には、複合的な視点が必要となります。
開削工法(矩形断面のボックスカルバートが主流)
推進工法(交通を止めずに地下に埋設)
仮設構台・仮締切・地中連続壁の併用
地下水位・地盤条件に応じた基礎形式の選定(杭基礎、直接基礎など)
土圧・水圧・地震動に対する構造計算と配筋設計
車両荷重・動的載荷に対するたわみ・沈下の評価
📌【ポイント】
構造物の沈下・亀裂・漏水を防ぐために、剛性の高い構造と連続性のある防水処理が重要です。
アンダーパスの設計で最も重要なテーマのひとつが「排水処理」です。
周囲の地面より低いため、降雨や地下水が自然流下しない
大雨時は排水能力を超えて冠水・通行止めのリスクが高い
側溝・ピット・ポンプピットによる集水設計
排水ポンプ設備(多段式・自動起動制御)の設置
非常用電源・バックアップポンプの導入(停電対策)
近年では豪雨対策のため雨水貯留槽を併設するケースも
📌【注意点】
設計時には「想定降雨量(時間あたりmm)」に加え、将来的な気候変動を踏まえた余裕設計が求められます。
周囲の交通を止められない場合 ⇒ 夜間施工・段階施工・仮設構造の検討
地下埋設物(上下水道、ガス、電力)の移設計画との整合
施工ヤードの確保と工期短縮の工夫(プレキャスト利用など)
また、地下水が多い地域では掘削中の湧水処理や地盤沈下リスクにも留意が必要です。
歩行者・自転車用アンダーパスの場合、照明・防犯対策(CCTV等)の設計
換気、排水設備の点検しやすい配置とメンテナンス導線の確保
脱出路・緊急連絡設備・表示板など災害時の安全設計も求められる
📌 設計段階から「完成後に誰が、どう維持管理するのか」を明確にすることで、ライフサイクルコストの最小化につながります。
法令・基準 | 内容 |
---|---|
道路構造令 | 幅員・勾配・クリアランスなどの設計基準 |
河川法 | 水路近接や地下水排出に関わる規制 |
都市計画法・建築基準法 | 用途地域・建築制限との整合性確認 |
土地区画整理法 | 区画整理事業との調整が必要な場合も |
課題 | 対応策 |
---|---|
地下水の多い地域での施工難 | 地盤改良・止水壁・揚水ポンプの併用 |
降雨による冠水事故の発生 | ポンプ・非常電源・貯留槽の複合設計 |
維持管理費用の増加 | プレキャスト化、点検性を高めた設計 |
利用者の心理的不安 | 明るい照明、防犯カメラの設置、見通しの良い設計 |
アンダーパスは、単なる「地下道」ではありません。
それは、都市交通の課題を解決し、人と物流の動線を快適にする社会インフラです。
その設計には、
✅ 土質・排水・構造・安全・景観への配慮
✅ 法令遵守と住民への説明責任
✅ 維持管理まで含めた「未来への責任」
が求められます。
アンダーパスの設計とは、人・モノ・情報が交差する“都市の呼吸”をつくる仕事なのです。
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