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月別アーカイブ: 2025年5月

中嶋建設のよもやま話~鉄則~

皆さんこんにちは!

 

株式会社中嶋建設、更新担当の中西です。

 

 

 

アンダーパス工事の鉄則〜安全・精密・環境対応が求められるプロの掟〜


今回は、アンダーパス工事において職人たちが実際に現場で守っている「鉄則」についてご紹介します。

都市の地下で行われるアンダーパス工事は、他の土木工事とは一線を画す難易度の高い工事です。
そこで求められるのは、一つ一つの判断と行動が安全・品質・コストに直結する現場力。それを支えている“鉄則”を、具体的に見ていきましょう。


⚠ 鉄則①:地中には“何かがある”ことを前提に動け

 

都市部では、アンダーパスの施工箇所の地中には配管・ケーブル・埋設物が錯綜しています。

  • 水道・ガス・下水・通信・電力などのライフラインが密集

  • 図面と実際が違うこともしばしば。“見えていないリスク”を前提に慎重な掘削を

 

「絶対にぶつけない」「見えないものを想定する」ことが鉄則です。


🛠 鉄則②:鉄道下工事は“止めずに、揺らさずに”が原則

 

鉄道との交差部では、「絶対に列車運行を止めない」ことが大前提です。

  • 施工中の微小な地盤沈下すら許されず、ミリ単位の沈下計測が行われる

  • バイブレーション工法・無振動杭打ち・夜間時間帯限定施工など、最新技術と慎重な工程管理が要求される

 

特にシールド推進やジャッキ支持式のボックス架設など、専門性の高い工法の精密さが問われる現場です。


💧 鉄則③:排水対策は“想定以上”に準備せよ

 

アンダーパスの弱点とも言える浸水リスクには、徹底した排水設計と設備の備えが必要です。

  • 排水ピットとポンプ設備は「100年に一度の雨」を想定して設計

  • 非常用電源・自動起動装置・水位センサーによる遠隔監視体制の構築

  • 作業中でも「仮排水ルート」の確保が鉄則

 

一度浸水すると利用停止だけでなく構造劣化にもつながるため、排水対策は“命綱”のひとつとされています。


🧱 鉄則④:周辺交通と住民に迷惑をかけない施工計画を

 

アンダーパス工事の多くは生活道路や鉄道付近など人の多い場所で行われます。

  • 工事車両の動線確保と歩行者の安全誘導

  • 騒音・振動・粉塵対策を徹底(防音壁・防塵シート・散水)

  • 通行規制や夜間工事への住民説明・合意形成

 

工事が進めば進むほど、“施工そのものより、周辺との調和”が成功のカギを握るようになります。


👷‍♂️ 鉄則⑤:記録・共有・予測の“3点セット”を怠らない

 

都市部のアンダーパス工事は、複数の業者・技術者・行政との連携作業です。

  • 毎日の作業日報、写真記録、測定値の記録を必ず残す

  • 「ヒヤリ・ハット」の共有によるリスクの先取り

  • 地下水位・地盤強度・構造体の挙動などの定期モニタリング

 

これらは、工事の品質と安全を“見える化”する唯一の証拠であり、将来のメンテナンスにも活きてきます。


✨まとめ:アンダーパス工事は、“表に見えない職人の知恵と技術”の結晶

 

アンダーパス工事は、都市にとって“影の主役”。
だからこそ、施工者には「見えないリスク」を想定し、「見えない努力」で都市の安全と利便性を守る使命があります。

その根底にあるのが、現場で守られてきた数々の“鉄則”。それは経験と失敗から生まれた、都市土木の英知そのものなのです。

次回もお楽しみに!

 

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中嶋建設のよもやま話~歴史~

皆さんこんにちは!

 

株式会社中嶋建設、更新担当の中西です。

 

 

 

アンダーパス工事の歴史〜都市の“縁の下”を支えてきた工法の進化〜


今回は、「アンダーパス工事の歴史」についてご紹介します。
アンダーパスとは、交差点や鉄道の下をくぐるように設けられた立体交差道路のこと。現在の都市ではよく見られるこの構造物も、かつては非常に高度な工事技術を必要とするものでした。

では、アンダーパス工事はどのようにして始まり、どのように発展してきたのでしょうか?その歩みをひもといてみましょう。


🚧 1. アンダーパスの始まりは“踏切問題”から

 

鉄道網が全国に広がった明治〜大正期、問題となったのが道路と鉄道の交差による踏切渋滞と事故でした。

  • 自動車交通の増加により、踏切の開閉時間が長くなり交通が停滞

  • 人身事故や列車との接触事故が相次いだ

  • 国や自治体が“立体交差化”を検討する動きが強まる

 

当初は「跨線橋(オーバーパス)」が中心でしたが、景観や勾配制限、周辺地形の関係で**地下にくぐる“アンダーパス”**が有効とされ、1930年代以降に徐々に導入が進みました。


🏗 2. 高度経済成長期:都市整備とともに普及

 

1950年代〜1970年代の高度経済成長期には、自動車の爆発的な普及に伴い、都市の渋滞対策が急務となりました。

  • 鉄道下をくぐるアンダーパス、幹線道路をくぐる都市高速下アンダーパスなどが各地に建設

  • 特に東京・大阪・名古屋などの大都市圏では、鉄道の高架化+道路のアンダーパス整備がセットで進められた

  • 鉄道事業者と道路管理者(国・自治体)が連携し、分離施工方式が確立

 

この時代の工事では、箱型のボックスカルバート構造が多く採用され、鉄筋コンクリートの耐久性と施工性が評価されてきました。


🌧 3. アンダーパスの課題「浸水リスク」

 

アンダーパス工事において、常に課題となってきたのが**「雨水による浸水事故」**です。

  • 地下に掘り下げる構造のため、水が溜まりやすくなる

  • 特に集中豪雨・ゲリラ豪雨では冠水しやすく、車両水没事故が多発

  • 2000年代以降、排水ポンプの大型化・遠隔監視システムの導入が進む

 

最近では、AI制御による自動ポンプ起動や排水ピットの容量増強など、浸水対策も進化しつつあります。


🛤 4. 鉄道との交差工事=“止められない線路”との戦い

 

鉄道を跨ぐアンダーパス工事では、**鉄道を止めずに掘削・設置する「開削工法」や「推進工法」**が用いられます。

  • 深夜の限られた作業時間内でのシールド掘進や仮設防護

  • 地盤沈下や構造物への影響を抑える高度な計測管理

  • 地盤改良、地中埋設物の避け方など、現場ごとの対応力が問われる

 

こうした「都市土木の難工事」の代表格として、アンダーパス工事は現代の土木技術の総力戦として位置づけられています。


✨まとめ:アンダーパスは“縁の下の都市構造物”

 

今や当たり前のように使われているアンダーパスですが、その裏には歴史を通じた知恵と技術、そして無数の職人の努力が詰まっています。

鉄道と道路の交差を安全・効率的に処理するその存在は、都市の呼吸を整える装置とも言えるでしょう。

次回は、そんなアンダーパス工事において“現場で守るべき鉄則”についてご紹介します!

次回もお楽しみに!

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