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日別アーカイブ: 2025年5月19日

中嶋建設のよもやま話~歴史~

皆さんこんにちは!

 

株式会社中嶋建設、更新担当の中西です。

 

 

 

アンダーパス工事の歴史〜都市の“縁の下”を支えてきた工法の進化〜


今回は、「アンダーパス工事の歴史」についてご紹介します。
アンダーパスとは、交差点や鉄道の下をくぐるように設けられた立体交差道路のこと。現在の都市ではよく見られるこの構造物も、かつては非常に高度な工事技術を必要とするものでした。

では、アンダーパス工事はどのようにして始まり、どのように発展してきたのでしょうか?その歩みをひもといてみましょう。


🚧 1. アンダーパスの始まりは“踏切問題”から

 

鉄道網が全国に広がった明治〜大正期、問題となったのが道路と鉄道の交差による踏切渋滞と事故でした。

  • 自動車交通の増加により、踏切の開閉時間が長くなり交通が停滞

  • 人身事故や列車との接触事故が相次いだ

  • 国や自治体が“立体交差化”を検討する動きが強まる

 

当初は「跨線橋(オーバーパス)」が中心でしたが、景観や勾配制限、周辺地形の関係で**地下にくぐる“アンダーパス”**が有効とされ、1930年代以降に徐々に導入が進みました。


🏗 2. 高度経済成長期:都市整備とともに普及

 

1950年代〜1970年代の高度経済成長期には、自動車の爆発的な普及に伴い、都市の渋滞対策が急務となりました。

  • 鉄道下をくぐるアンダーパス、幹線道路をくぐる都市高速下アンダーパスなどが各地に建設

  • 特に東京・大阪・名古屋などの大都市圏では、鉄道の高架化+道路のアンダーパス整備がセットで進められた

  • 鉄道事業者と道路管理者(国・自治体)が連携し、分離施工方式が確立

 

この時代の工事では、箱型のボックスカルバート構造が多く採用され、鉄筋コンクリートの耐久性と施工性が評価されてきました。


🌧 3. アンダーパスの課題「浸水リスク」

 

アンダーパス工事において、常に課題となってきたのが**「雨水による浸水事故」**です。

  • 地下に掘り下げる構造のため、水が溜まりやすくなる

  • 特に集中豪雨・ゲリラ豪雨では冠水しやすく、車両水没事故が多発

  • 2000年代以降、排水ポンプの大型化・遠隔監視システムの導入が進む

 

最近では、AI制御による自動ポンプ起動や排水ピットの容量増強など、浸水対策も進化しつつあります。


🛤 4. 鉄道との交差工事=“止められない線路”との戦い

 

鉄道を跨ぐアンダーパス工事では、**鉄道を止めずに掘削・設置する「開削工法」や「推進工法」**が用いられます。

  • 深夜の限られた作業時間内でのシールド掘進や仮設防護

  • 地盤沈下や構造物への影響を抑える高度な計測管理

  • 地盤改良、地中埋設物の避け方など、現場ごとの対応力が問われる

 

こうした「都市土木の難工事」の代表格として、アンダーパス工事は現代の土木技術の総力戦として位置づけられています。


✨まとめ:アンダーパスは“縁の下の都市構造物”

 

今や当たり前のように使われているアンダーパスですが、その裏には歴史を通じた知恵と技術、そして無数の職人の努力が詰まっています。

鉄道と道路の交差を安全・効率的に処理するその存在は、都市の呼吸を整える装置とも言えるでしょう。

次回は、そんなアンダーパス工事において“現場で守るべき鉄則”についてご紹介します!

次回もお楽しみに!

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