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皆さんこんにちは!
株式会社中嶋建設の更新担当の中西です。
さて今回は
~設計~
ということで、アンダーパス工事における設計の実務ポイントと、直面する課題・対策について深く掘り下げてご紹介します。
都市部や交通の交差点でよく見かける「アンダーパス(undepass)」
これは道路や鉄道などの下を通す地下通路であり、交通の安全性・円滑性の確保、渋滞緩和などの目的で多く活用されています。
しかし、アンダーパスは単なる「トンネル」ではなく、構造設計・排水設計・施工条件・周辺環境との調和など、非常に高度な設計力が求められる土木構造物です。
アンダーパスとは
鉄道や幹線道路と交差する箇所において、交通の立体交差化を図るために下を通す道路・歩道・自転車道等の構造物です。
鉄道との平面交差を回避(踏切廃止)し、安全性を向上
幹線道路・バイパスとのスムーズな交通流を確保
歩行者・自転車の安全な通行路を提供(歩道アンダーパス)
アンダーパスの設計には、複合的な視点が必要となります。
開削工法(矩形断面のボックスカルバートが主流)
推進工法(交通を止めずに地下に埋設)
仮設構台・仮締切・地中連続壁の併用
地下水位・地盤条件に応じた基礎形式の選定(杭基礎、直接基礎など)
土圧・水圧・地震動に対する構造計算と配筋設計
車両荷重・動的載荷に対するたわみ・沈下の評価
📌【ポイント】
構造物の沈下・亀裂・漏水を防ぐために、剛性の高い構造と連続性のある防水処理が重要です。
アンダーパスの設計で最も重要なテーマのひとつが「排水処理」です。
周囲の地面より低いため、降雨や地下水が自然流下しない
大雨時は排水能力を超えて冠水・通行止めのリスクが高い
側溝・ピット・ポンプピットによる集水設計
排水ポンプ設備(多段式・自動起動制御)の設置
非常用電源・バックアップポンプの導入(停電対策)
近年では豪雨対策のため雨水貯留槽を併設するケースも
📌【注意点】
設計時には「想定降雨量(時間あたりmm)」に加え、将来的な気候変動を踏まえた余裕設計が求められます。
周囲の交通を止められない場合 ⇒ 夜間施工・段階施工・仮設構造の検討
地下埋設物(上下水道、ガス、電力)の移設計画との整合
施工ヤードの確保と工期短縮の工夫(プレキャスト利用など)
また、地下水が多い地域では掘削中の湧水処理や地盤沈下リスクにも留意が必要です。
歩行者・自転車用アンダーパスの場合、照明・防犯対策(CCTV等)の設計
換気、排水設備の点検しやすい配置とメンテナンス導線の確保
脱出路・緊急連絡設備・表示板など災害時の安全設計も求められる
📌 設計段階から「完成後に誰が、どう維持管理するのか」を明確にすることで、ライフサイクルコストの最小化につながります。
法令・基準 | 内容 |
---|---|
道路構造令 | 幅員・勾配・クリアランスなどの設計基準 |
河川法 | 水路近接や地下水排出に関わる規制 |
都市計画法・建築基準法 | 用途地域・建築制限との整合性確認 |
土地区画整理法 | 区画整理事業との調整が必要な場合も |
課題 | 対応策 |
---|---|
地下水の多い地域での施工難 | 地盤改良・止水壁・揚水ポンプの併用 |
降雨による冠水事故の発生 | ポンプ・非常電源・貯留槽の複合設計 |
維持管理費用の増加 | プレキャスト化、点検性を高めた設計 |
利用者の心理的不安 | 明るい照明、防犯カメラの設置、見通しの良い設計 |
アンダーパスは、単なる「地下道」ではありません。
それは、都市交通の課題を解決し、人と物流の動線を快適にする社会インフラです。
その設計には、
✅ 土質・排水・構造・安全・景観への配慮
✅ 法令遵守と住民への説明責任
✅ 維持管理まで含めた「未来への責任」
が求められます。
アンダーパスの設計とは、人・モノ・情報が交差する“都市の呼吸”をつくる仕事なのです。
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